こんにちは。モウカクです。
以前、自分の今後の生き方の参考・ロールモデルにしたいということで、田原俊彦さん(トシちゃん)と大相撲の横綱照ノ富士関のお2人にある共通項を考えた記事、「行動で示すということ ~「不動心」の体現~」を投稿しました。
その記事内ではお2人のマインド・考え方にフォーカスして考えてみたものですが、最近になってふと考えたことがありました。
この2人はなぜ最近になって、改めて支持を広げたのだろうか?
いずれも間違いではないと思います。上記に挙げた以外の要素も諸々合わさっての結果でもあるでしょう。
ただ、支持を広げている大きなポイントがこの2人にはあると思うのです。今回はそのポイントにフォーカスして考えてみたいと思います。よろしければ最後までお付き合いください。
(本記事は「行動で示すということ ~「不動心」の体現~」を別視点で考えてみた記事になります)
それではいきましょう。
「弱さを見せている」
トシちゃんと照ノ富士関が改めて支持を集めている共通のポイントは何か。
それは「弱さを見せている」ということだと個人的に感じています。
これは「意図的に見せている」ということではありません。お2人にとって順風満帆ではなかった時期であってもその状況を淡々と受け止め、その時に可能な範囲で出来ることを粛々と行っていたことが、私達見ている側からすると、順調な状態だった時との比較で相対的に「弱っている」ように見えている、ということです。
それまでが順調な状態であればあるほど、相対的な比較として「上手くいっていない状況・苦境を迎えている状況」に見えるのです。
過去記事、「行動で示すということ ~「不動心」の体現~」の中で以下の人生曲線の図を用いましたが、この曲線の赤矢印で示した範囲の部分が「弱っているように見える部分」ということになります。
私達人間は上手くいっていない状況・苦境を迎えている状況から立ち上がって行動している人・動物・組織を見ると心情的に応援したくなることが多いと思います。
何故でしょうか。私達自身が日常を生きていく上で順風満帆のままでは過ごせないケースがほとんどだからです。ただその一方で自分自身が順風満帆ではない状況の時、それをオープンにするのはなかなか勇気がいるものだったりもします。
トシちゃんや照ノ富士関はアーティストや力士という職業柄、人前でパフォーマンスすることが前提となる生業です。よって順風満帆であろうがなかろうが、今の職業を続けていく以上は自身の状況はオープンにならざるを得ません。もしクローズにしたいと考えるのならば、職業自体を続けていくのは難しい筈です。
このように考えると、私達は人前に立つ生業の皆さんをいわば写し鏡のように見立てていると言えます。
私達自身も数多く経験しているであろう「順風満帆ではない状況」を人前に立つ生業の方々の姿に重ね、その方々が「順風満帆ではない状況」「苦境に立ち向かい、乗り越えようとしている」時に、
・あの人も私と同じで上手くいかない状況を経験してるんだ…
・あの人も腐らずにやってる。だから私も頑張れる!
・あの人も苦しい経験している。だから私だけじゃない。みんな同じ!
こんな風に共感でき、応援の輪が広がることで支持拡大に繋がっているのではないか、そんな風に感じます。
まとめると、トシちゃんと照ノ富士関お2人に共通する「支持を広げているポイント」は、
このように考えることが出来ます。
もちろんこれだけが要因ではないでしょうが、足で踏み鳴らされて冬場に雪や霜にさらされている麦が茎太く穂は大きく成長するように、私達人間も苦労・挫折・絶望などのいわゆる底を経験し、その状況に立ち向かった人達の方が人として強く大きく、魅力的に見えるものだと思います。(余談ですが、大相撲の元大関霧島の自伝のタイトルが「踏まれた麦は強くなる」ですね。大分昔に出された本ですが、当時ファンだったこともあって興味深く読んだ記憶があります。)
お2人とも、順風満帆ではなかった時期の状況を受け止めて向き合い乗り越えてきた経験があるからこそ、以前よりも人間としての魅力を大きく増している部分はあるのだと感じています。
「自分の弱さ」を見せることで受け入れてもらいやすくなる?
ここからは私自身の話で恐縮ですが、会社員時代から長くメンターの経験をしてきました。
若手社員・新入社員・中途社員・不安や悩みを抱えているクライアント・メンティの皆さんから悩みや不安をヒアリングし、先々が上手く軌道にのるようにアドバイスをしています。
その際に私自身が意識していること。「自身が上手くいかなかったこと、失敗談をベースにアドバイスして相手に自信を持たせる」ことを特に意識しています。
自分自身の上手くいかなかったこと・失敗談、言い換えれば「弱さ」を示した方が相手に安心感を与えることが出来、こちらの話を聞いてもらえる姿勢になっていただきやすい、受け入れてもらいやすいと考えているからです。
これには理由があります。
会社員時代、私とは別部署に配属されたほぼ同期入社のAくんがいました。
入社直後の研修時のことです。私とAくんは同部屋で別のメンターから研修を受けていました。ところが、その時にAくんについていたメンターから聞こえてきたのは、
・自分は3ヶ月で○○の成果を出した
・1ヶ月後には最低△△くらいの成果出さないと話にならない。自分は10日くらいだったかな
などと、自分の成果を誇る内容ばかり・・・傍から聞いていても違和感がありました。
その後まもなく、Aくんは退職届を出しました。後で理由を教えてくれたのですが、その研修でのメンターの話の内容で「この人のもとでやっていく自信がないから」とのことでした。
対象者の不安・悩みを和らげる役目のはずのメンターが退職の理由になってしまう。これは一番駄目な状況だと強く感じました。少なくとも対象者の自信を失わせるような状況には絶対してはいけない。私がメンターの役目を担うようになった際、このことを心に決めて現在に至ります。
上司や同僚からは「失敗談なんか話してどうするんだ。恥ずかしいことなんだから意味ないことアドバイスするんじゃない!」と否定されることも多々ありましたが、私自身はこの信念を変えずにメンターとして臨んでおり、現在の活動スタンスも変わっていません。
結果、長期間にわたって信頼関係を構築しているクライアント・メンティの方が沢山います。これは私自身がメンターとしての活動スタンス「自分の上手くいかなかったこと・失敗談(弱さ)をベースにアドバイスを行う」が間違ってなかったからだと自負しています。
まとめ
以上、今回は以前に投稿した記事「行動で示すということ ~「不動心」の体現~」の別視点として、トシちゃんと照ノ富士関が改めて支持を広げている理由について、私自身の経験・スタンスも踏まえて個人的な考えを綴ってみました。
もちろん様々な考えがありますし、本記事で書いた「弱さを見せる」ことに懐疑的な意見もあると思います。(私がこれまでに出会ってきた人達は「弱さを見せる」ことに否定的なスタンスの方々が多かったです。)
ただ、私達人間が生きていくうえで全て順風満帆に進むということはまずありません。ほとんどの場合は何かしらの困難や障害に向き合うタイミングがあります。
私自身も過去に数多くの困難・障害にぶつかり、向き合って来ました。そしておそらく、この先の人生においても何かしらの困難や障害と向き合うことはあるだろうと思います。
困難や障害を迎えた時、私達は解決の糸口となる情報や似たような境遇を迎えて立ち向かっている人達の情報をリサーチする傾向が非常に高いです。個人的にはその理由として「この状況をどのように解決しようとしているか参考にしたい」「自分が頑張るための励みにしたい」という思考からくるものだと考えています。
先の項でも書きましたが、トシちゃんや照ノ富士関は職業柄人前でパフォーマンスすることが前提です。逆に言えば、私達が何らかの情報をリサーチする際に最も目に付きやすい方々であると言えます。「人前でパフォーマンスする」というのはそれだけ大きな影響を持っているのです。
その影響力の強さを持つ生業に就きつつ、「自身が仮に苦境であってもそれを受け入れ、その時に出来ることを粛々と実行していく」。言い換えれば「弱さを受け入れて見せる」ことで、見る側の私達に対して、
・あの人も頑張っている。自分達も頑張って立ち向かおう!
というパワーや励みを与えてくれている。それが支持拡大に繋がっている大きな要因の1つではあるのかな、と個人的に感じました。「行動で示すということ ~「不動心」の体現~」ということの裏付けにもなろうかと思います。
それでは今回はこの辺で。長々お付き合いいただき有難うございました m(__)m
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